転生したら伯爵令嬢でした(ただし婚約者殺しの嫌疑付き)。容疑を晴らすため、イケメン年下騎士と偽装恋愛を始めます!

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「――どうしてアルベール様が、そこまでしてくださるんです」

「この二人が……、いや、バール男爵が、大嫌いだからです」



 アルベール様は、間髪入れずに仰った。



「こんなクズ、殺されて当然ですよ。むしろ、殺人犯が捕まって処罰されたら、俺はそちらに同情するでしょう……。だから、あなたが彼らを殺していようがいまいが、俺はあなたを助ける道を選ぶんです……。さあ、どうします?」



 アルベール様は、さらに一歩私に近付いた。



「記憶が戻る保証は無いでしょう。無実かもしれないのに、極刑に処せられる? 実は殺人犯かもしれないけど、嘘をついて生き延びる?」



 どっち、と迫るその様子は、前世で見ていた推理ドラマの刑事のようだった。そこで私は、思い出した。以前命を落とした時、私はこう誓ったではないか。



 ――生まれ変わったら、今度こそちゃんと自己主張する! 絶対……!



(もう、あんな人生は送りたくない)



 内気で、嫌と思ったことも嫌と言えない性格だった私。友達も少なければ、彼氏もいなかった。あげく、二十代で死ぬはめになるなんて。



生き延びる道を選ぼう、と私は思った。前世と同じ過ちを、繰り返してなるものか。生きながらえて、記憶を取り戻し、真偽を明らかにしてみせる……!



 私は、アルベール様の目を見て宣言した。



「そのご提案、ありがたくお受けしますわ」
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