転生したら伯爵令嬢でした(ただし婚約者殺しの嫌疑付き)。容疑を晴らすため、イケメン年下騎士と偽装恋愛を始めます!

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「よし、こんなものかな」



 ひととおり室内を乱すと、アルベール様は満足そうな顔をされた。続いて、二人の遺体の元にしゃがみ込むと、目に付く宝石を取り外す。



「物盗り目的で侵入したところ、思いがけず彼らに見つかったから、とっさに殺した、と皆考えることでしょう。……ああ、これは、後で処分しますからね」



 宝石を懐にしまいながら説明すると、アルベール様はチラリと私を見た。



「そして今度は、我々の逢い引きの偽装。密会場所は……、あなたの部屋が自然かな。案内していただけますか?」

「あ……、はい!」



 とは答えたものの、私はちょっとためらった。この地味な容姿と性格ゆえ、これまで男性とは、ろくに話したことすら無いのだ。もちろん、部屋へ招くなんて初めての経験である。そんなことを言っている場合ではないとわかっているが、緊張して仕方ない。



(私の部屋でないとダメかしら? 他の場所を提案する? ダメだ、案が浮かばないわ……)



 迷っていると、アルベール様は目をつり上げた。



「何をのんびりしているんです!」

「す……、すみません!」



 その厳しい口調と眼差しに怖じ気づきつつ、私は部屋を出た。先に立って、彼を案内する。



(何だか……、思いっきり仕切られてますわね)



 頼もしすぎて、私より三歳も年下とは、とても思えない。気恥ずかしいような、それでいて少し嬉しいような思いで、私は自室へと急いだのだった。
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