人肉病
次の瞬間、鉄ザビのような匂いが鼻腔を刺激した。
けれどそれは食欲をそそられることのない、感染者の血の匂いだとすぐに理解する。


「血だ!」


圭太が私の手に気がついて声を上げ、私は咄嗟にその場から離れた。
もともとマットが赤色だからそこに染み込んだ血の色に気がつくことができなかったんだ!

私は懸命に自分の制服で血を拭い取る。
食べられない血液はただ気持ちが悪いばかりだ。


「どうしてこんなところに血が……」


圭太がそう呟いたときだった。
教室後方の壁が大きく開いて1人の男子生徒が姿を見せた。
私達は身を寄せ合って机の下に身を隠す。

壁だと思っていたその奥には大きな楽器を片付けておくスペースがあったみたいだ。
それに気が付かずに、音楽室には誰もいないと思い込んでしまった。
自分たちの犯した失態に下唇を噛みしめる。

男子生徒が出てきた奥の部屋をどうにか確認してみると、楽器だけではなくて沢山の生徒たちの死体が積み重なっていることに気がついたのだ。
思わず上げそうになった悲鳴を、両手で口を塞いで押し込める。
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