人肉病
私は拳を握りしめて頷いた。


「そうだよね。ユカリになにがあったのか、私達にはわからない」


勝手な想像で暴走するのはよくないと、自分に言い聞かせた。
私と圭太はユカリへ向けて手を合わせて、再び街の中を歩き始めた。
今のことろ生きている人を見ていない。
この街はすでに壊滅状態にあるのだ。


「このままあるき続けても仕方ないか。どこかの家に入ってみよう」


圭太の提案で、私達は少し大きな一軒家に目をつけた。
逃げてくるまでに体力を消耗してしまったし、少し休憩したい気分だ。
焦げ茶色の玄関ドアを開くと鍵は駆けられていなかった。

混乱状態の中逃げ出したのか、玄関先の靴は乱雑に乱れている。
中から人の気配がしないことを確認してから、私と圭太は家に上がり込んで玄関に鍵をかけた。
誰の家かなんて知らないけれど、もうそんなことを言っている場合ではない。


「少し血の匂いがするね」


広いリビングに入ってみるとツンッと鉄さびの匂いがする。
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