人肉病
これだけの状況があればもう明白だった。
この男性は食料としてここに拘束されていたのだ。

圭太が深く溜息を吐き出して男性から身を離した、その瞬間だった。
今まで気絶していた男性が突然目を開けたのだ。

そして私達を目視した瞬間「やめてくれ! 助けてくれ!」と悲鳴を上げ始める。
私はとっさに走って地下室のドアを閉めていた。
この声が外に聞こえないほうがいいと判断したのだ。


「大丈夫。落ち着いて」


圭太が必死になだめて男性はようやく私達をマジマジと見つめた。
そして大きく息を吐き出す。


「この家のヤツらはどこに? 見つかったら、きっと食べられちまうぞ!」


男性はひっきりなしに地下室の中を確認して怯えた表情を浮かべている。
目覚めてすぐだというのに、すでに冷や汗を流していた。


「あなたはこの家の住人じゃないんですか?」


圭太が聞くと男性は左右に首をふる。


「俺は違う。ただ、この街から逃げ出そうとしてたんだ。なにせ外は感染者だらけだったから。でも途中でこの家の連中に捕まったんだ。連中は全員感染してた。俺を食料としてここへ運んで、監禁したんだ!」
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