人肉病
しかし自衛隊員はすぐに動き出そうとせず、どこかに連絡を取り始めた。
搬入先の病院を探しているのかもしれない。
患者を搬送するにも手順が必要なことは理解できるけれど、どうしてももどかしい気持ちになって、唇を噛みしめる。

この一分一秒がユカリの生死を分けることになるのかもしれないんだ。
もしユカリが死んでしまったら……。
そこまで考えて私は強く左右に首を振った。

ユカリが死んだらなんて、そんな不吉なことは絶対に考えないようにしなきゃ。
ユカリは今、頑張ってるんだから。
それからしばらくしてようやく通信を終えた自衛隊員たちがユカリを担架に乗せた。


「ユカリ、頑張って!」


教室を出ていくユカリへ向けて、私はそう声をかけるしかなかったのだった。
ユカリが教室から運び出された後も教室内は騒然としていて、私と麻子は動くことができずにいた。


「私のせいで……」


麻子が小さな声で呟いてズルズルと座り込む。
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