S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
「私、医師を天職だと言った柾樹さんを本当にかっこいいなと思いました。おなかの赤ちゃんもきっと同じです」
「すまない。落ち着いたら、すぐにそっちに駆けつけるから」
「はい。大丈夫ですよ。離れていても、柾樹さんの気持ちはちゃんと私のところに届きます」

 彼が呼んでくれたタクシーに乗って、和葉は病院へと急ぐ。

(心配ない、心配ない。きっと、柾樹さんが来てくれる頃には赤ちゃんも生まれてる)

 つわりもそう重くはなく、妊娠経過も至って順調。だから、なんとなく出産もスムーズに進むんじゃないか……そう楽観視していたが、大きな間違いだった。
 
 病室がそのまま分娩室に変わるこの部屋に入ってからもう二十時間も経ったのに、お産は思うように進まず和葉はヘトヘトになっていた。

「うぅ~」

 断続的に襲ってくる猛烈な痛みに声も枯れきって、もううなることしかできない。段々と意識も遠のいていく。

「あぁ! 苦しいけど、がんばって起きてて。眠っちゃうと余計に進まなくなることが多いのよ」

 口調は優しいけれど、今の和葉には無慈悲なひと言が助産師の口から告げられる。

「そ、そんなぁ~」

(ゴ、ゴールはどこ? あとどのくらいと教えてもらえたら、がんばれる気がするのに)
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