S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
腫瘍は手術で綺麗に取り除くことができていて、このあとは投薬をしながら転移や再発がないかを観察していくことになるらしい。
(癌と聞かされたときはどうしようかと思ったけど、こうなってみると早く発見できて本当によかった)
「それにしても、部屋でずっとゴロゴロしとくってのはなぁ」
育郎はあぐらを組み替えて、退屈そうな顔でぼやいた。
「気持ちはわかるけど、まだ店に出たりしたらダメだからね。しばらくは療養に専念してよね」
「はいはい」
「安吾くんと登美子さんにもお礼をしなきゃね。お店が営業を続けられたのも、ふたりのおかげだもの。そうだ、安吾くんのお料理すごく評判がいいよ。さすがはおじいちゃんが育てただけあるって、みんな褒めてた」
「おぉ、あいつの腕は本物だ。ここだけの話だが、きっと俺よりいい料理人になるぞ」
料理に関しては負けず嫌いな育郎だが、安吾を褒められることは心からうれしいようだ。彼をもうひとりの孫のように思っているのだろう。
「そういや――」
育郎はバツの悪そうな顔になって続ける。
「あの、円城寺先生が銀行に話をしてくれたって件、和葉の旦那ってだけで、そんなことまで頼んじまって申し訳なかったな」
入籍を済ませるとすぐに、柾樹は芙蓉が金を借りている銀行と話をつけてくれた。銀行側は〝円城寺〟の名前を聞いただけですっかり小さくなってしまい、返済催促の電話はぴたりとこなくなった。
(癌と聞かされたときはどうしようかと思ったけど、こうなってみると早く発見できて本当によかった)
「それにしても、部屋でずっとゴロゴロしとくってのはなぁ」
育郎はあぐらを組み替えて、退屈そうな顔でぼやいた。
「気持ちはわかるけど、まだ店に出たりしたらダメだからね。しばらくは療養に専念してよね」
「はいはい」
「安吾くんと登美子さんにもお礼をしなきゃね。お店が営業を続けられたのも、ふたりのおかげだもの。そうだ、安吾くんのお料理すごく評判がいいよ。さすがはおじいちゃんが育てただけあるって、みんな褒めてた」
「おぉ、あいつの腕は本物だ。ここだけの話だが、きっと俺よりいい料理人になるぞ」
料理に関しては負けず嫌いな育郎だが、安吾を褒められることは心からうれしいようだ。彼をもうひとりの孫のように思っているのだろう。
「そういや――」
育郎はバツの悪そうな顔になって続ける。
「あの、円城寺先生が銀行に話をしてくれたって件、和葉の旦那ってだけで、そんなことまで頼んじまって申し訳なかったな」
入籍を済ませるとすぐに、柾樹は芙蓉が金を借りている銀行と話をつけてくれた。銀行側は〝円城寺〟の名前を聞いただけですっかり小さくなってしまい、返済催促の電話はぴたりとこなくなった。