S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
 少しでも育郎の心労を減らせるかと、手術の終わったタイミングで話をしてあったのだ。

「柾樹さんからの伝言、『礼はいらないから、早く元気になってまた料理を食べさせてほしい』だって。すっかり芙蓉のファンになっちゃったみたい」

 援助の理由は、芙蓉のファンだから。そう口裏を合わせてもらうよう柾樹には頼んであった。芙蓉のために結婚したとは、育郎には絶対に知られてはならないから。

 育郎が退院してから数日が過ぎた。
 和葉は店に出て、お昼の営業の準備をしているところだ。

 店は安吾と登美子と和葉で協力して、なんとか回せている。もちろん育郎が抜けた穴は大きいが、師匠の不在は安吾を大きく成長させる要因にもなっているようだった。
 テキパキと仕込みを済ませていく彼の姿を眺めながら和葉は思う。

(安吾くんもすっかり一人前だなぁ。彼のファンも増えているし、芙蓉はまだまだがんばれるよね!)

 柾樹の援助も心強いし、絶対に芙蓉をつぶしはしないと和葉は気合いを入れ直した。
 ふと視線を感じて顔を横に向けると、登美子と目が合った。

「どうしたんですか、登美子さん。私の顔になにかついてます?」
「ううん。和葉ちゃん、びっくりするくらい綺麗になったなぁと思って」
「えぇ? おだてても、なにも出ないですよ」

 和葉は登美子の肩を軽く叩く。
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