S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
「用もないのに電話をする必要はありませんし」
『俺のほうには大事な用があるぞ。――和葉の声が聞きたかった』

 スマホごしなのに、すぐ近くで彼にささやかれているような気がして顔が熱くなる。

「も、もうっ! そういうのも必要ありませんから」

 動揺しまくる和葉に、彼は楽しそうな笑い声をあげる。

『それに、もうひとつ用件がある。明日はオフになったんだが……少しだけでも会えないか?』
「え、私も明日はお休みです!」

 今度はごまかせなくて、思いきりうれしそうな声を出してしまった。それに気づいたのか、柾樹はふっと笑う。

『じゃあ、ご要望のスイーツビュッフェだな』

 約束を覚えていてくれた。それだけで胸がじわりと温かくなる。

「――はい。あ、あのっ」
『ん?』

 柾樹の声が優しい。だから、ちょっとだけ素直になれた。

「電話をくださって、ありがとうございました」
『あぁ』

 翌日。柾樹が車で芙蓉まで迎えに来てくれて、都内のホテルにふたりで出かけた。一階のラウンジで催されている『秋味スイーツフェア』は、たくさんの女性客でにぎわっていた。

 和栗のモンブラン、ぶどうのミニパフェ、かぼちゃプリン。皿いっぱいにスイーツをのせてご機嫌で席に戻ってきた和葉を見て、柾樹は目を細めた。

「満足そうだな」
「はい、それはもう! 前回も豪華ですごかったですけど、こういう普通っぽいデートも私は楽しいです」
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