S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
 嫉妬と呼ぶにはまだ小さな炎が、和葉の胸をチリチリと焦がす。この火をこれ以上大きくしないよう、和葉は自分をいましめる。

(彼に恋をしたりはしない、そう決めたじゃない)

 柾樹の初恋の話をこれ以上聞きたくなくて、和葉は話題を変えた。

「そういえば手術続きだったと言ってましたが、柾樹さんの体調は大丈夫ですか?」
「睡眠不足はいつものことだし、もう慣れた」

 今日は自分に気を使って、無理して誘ってくれたのかもしれない。

(悪いことをしてしまったかも)

 しゅんとする和葉に柾樹は優しくほほ笑みかける。

「ひとりでダラダラ過ごすより、こうして誰かと話すほうが元気になれる。だから今日は和葉が付き合ってくれてよかった」
「――はい」

(本当にずるい人だ。普段はあんなに強引で俺さまなくせに、肝心なところでは絶対に優しいんだもの……)

「でも、お医者さまはやっぱり大変なお仕事ですよね」
「病院の規模、どこの科の医師かによっても全然違うから、一概には言えないけどな。俺の場合は円城寺グループの経営にかかわる業務もあるし」

 柾樹は外科医の仕事に加えて、医療財閥円城寺グループの後継者としての役目も果たさなくてはいけないのだろう。そこにはきっと、和葉には想像もできない重圧があるはずだ。

「柾樹さんは跡取りとして、昔から医師をこころざしていたんですか?」
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