二次元に妻を奪われたくないスパダリ夫は、壮大すぎる溺愛計画を実行する
 涼がそのまま向かったのは、香澄の家と隣の家の間にある、人一人分ギリギリ入る隙間。

「しまった……」

 涼が急いで回収したものこそ、勇気が香澄のために集めたグッズが大量に入った紙袋。
 もちろん、袋の口はパカっと開けっぱなし。
 人から見たら、竜宮城の宝もしくは埋蔵金レベルの価値があるものがあっという間に降ってきた大雨により、ぐちゃぐちゃに濡れてしまった。
 涼はそのまま急いで部屋の中に袋を持ち込んでから、リビングに入った。
 何事も、次の作戦を考える前には状況把握が必要。
 涼はすでにボロボロになってしまった袋から、1つずつ中身を確認するかのようにローテーブルに品物を並べていく。

(こ、こんなにあるのか……?)

 指先程の大きさのチャームから、袋に入った布物、それから涼の顔1個分のクッションなど、勇気が持ってきたグッズはバラエティ豊か。
 ビニールで包まれていたものは問題なさそうだったが、問題は紙箱に入っている指先ほどの大きさしかない人形のようなもの。
 水分がしっかり染み込んで、ふにゃんふにゃんになり、キャラクターの顔らしき部分に白い筋がたくさん入っていた。
 確かに涼は、キャラクターへの嫉妬心は無限大にある。
 だが、こんな状態にするために隠したわけじゃなかった。
 香澄が寝静まったあとに、こっそり持ち込んで、自分が、買ったことにしたかっただけだった。
 勇気の手柄を、自分のものにしたかっただけだったのだ。

(まずは、急いで乾かさないと)

 涼は動揺のあまり、いつものスマホ検索をすっ飛ばして洗面台まで走った。ドライヤーを手にするために。
 もう少しゆとりがあればと、後日心から悔いることになる涼だった。
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