二次元に妻を奪われたくないスパダリ夫は、壮大すぎる溺愛計画を実行する
 涼は、キスをしている最中にしては珍しく、スッと香澄から離れた。
 この様子を拓人が見ていたら

「あんた!何考えてるのよ!逆に気味が悪いわ!!」

 と、気持ちが良い程の罵声を浴びせたことだろう。
 それくらい不自然な動きを、涼はした。
 もちろん、その不自然さは香澄にもしっかり伝わっており……。

「せ、先生?」

 不安げな瞳で涼を香澄は見つめた。
 そんな香澄を見て、香澄が何を不安に思ったかは気づいたので

「大丈夫だよ。香澄は何も悪くない」

 と、そこはしっかりフォローした。

「ただ、ちょっと用事を思い出して……」

 そう言ってすぐ、涼はそそくさとドアの近くまで行ってしまった。
 その動きを、香澄は目をぱちくりさせながら見ていた。

「悪いけど香澄」
「はい」
「15分……いや、10分、待っていてくれないか?」
「え?」
「すぐ戻ってくるから」
「え、え?」

 涼は香澄の返答を聞かないまま、勢いよく香澄の部屋から飛び出してからそのまま、あの場所へと向かった。
 嫌な予感を抱えながら。
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