二次元に妻を奪われたくないスパダリ夫は、壮大すぎる溺愛計画を実行する
「どうしたの?」

 涼はもう1度ボトルからクリームを出し、もう1度手のひらで温めてから、香澄の足に触れた。
 ただし、今度は全く別の場所。

「ふ、ふくらはぎ……」
「ここも、ずいぶんむくんでるみたいだね」

 そう言いながら、涼は足首から香澄の膝裏にかけて、指圧していく。

「どう?痛くない?」
「あ、痛くは……ないです……」
「じゃあ、気持ちいい?」
「それは……」

 香澄は、さっき触れられた場所が場所だっただけに、昼間には口にできない……文章には書けるけれど……な、ちょっぴりいやらしい展開を想像してしまった。
 でも、涼がしてくれているのは、本当に香澄の体をリラックスさせるためのマッサージだ。
 涼がいい感じに圧をかけてくれるおかげで、香澄のこわばった体が少しずつ柔らかくなっていく。
 涼の完全なる白い善意を、自分のいやらしい妄想で汚してしまったのが、香澄は申し訳なかった。

「き、気持ちいいですよ」

 私は、赤ちゃんの胎教には明らかに悪い考えを打ち消しながら答えた。
 すると涼は、こうささやいてきた。

「嘘」
「え」
「分かってるよ。君が今、何を考えたかは」
「ど、どういう……」

 香澄が口を開いた瞬間、ふくらはぎにあったはずの涼の手が、再び足のつけねに触れた。

「ひゃっ!」
「分かってるんだよ、香澄。だって、僕がそうなるように作ったんだからね」
「つ、作る……?」
「そ。でもね、僕は別に君にただリラックスしてもらいたいだけなんだ。だから……我慢、がんばろうね」

 そういうと、涼は今度は太もものマッサージを始めた。

(がんばるって、何を?)
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