二次元に妻を奪われたくないスパダリ夫は、壮大すぎる溺愛計画を実行する

「か、香澄……？」

　涼が声をかけると、香澄がぱっと顔を上げて量を見た。

「涼先生……！？」

　香澄は急いでスマホを隠したので、余計に涼は気になった。

「今、な、何を……」
「え？あ、あのですね、ちょっと資料を……」
「資料？」
「はい。ネットの口コミとかSNSは資料になるので、それを読んでたんです」
「…………ふーん？」

　香澄が、シナリオを書くために、ちょっと際どい系の恋愛に関するリサーチをしているのは知っていた。
　ちなみにほんの少し前、涼は香澄にこんなことを尋ねられた。

「あの……実は不倫復讐ものの作品に挑戦しようと思ってるんですけど……」
「か、香澄？」
「その……先生の……知識を少し教えていただくことは」
「香澄。やめよう」
「え」
「君にはそういう作品は似合わないよ」
「でも、今人気で」
「やめよう、ね」
「は……はい……」

　そんなこんなで涼は香澄に不倫浮気に関して自分に質問をすることも、調査をすることも阻止したのだったが、そんなやりとりの後での

「二次元と結婚できるとか最高か」

　香澄の発言だったので、涼の心はザワザワしてしまったのだった。