二次元に妻を奪われたくないスパダリ夫は、壮大すぎる溺愛計画を実行する
「つまり。二次元と結婚できる発言の前に、浮気不倫について聞かれてたから?香澄があんたを浮気相手にするんじゃないかって思ったわけ?」
「違う」
「何が違うのよ」
「あっちが不倫相手だ」
「どっちでも同じ意味だし、そもそもあんた弁護士でしょう!浮気不倫案件はお手のものでしょう」
「……民法に違反するから慰謝料支払い義務がある……」
「うんうん。民法って、対象は人間でしょう。国民でしょう」
「…………やはり会社を潰すしか」
「バイオレンス発言は全力で却下する。前に説明したでしょう!」
「…………何を…………」
「二次元と三次元じゃ、嫁の考え方が違うって」
「……嫁…………」

 一気に涼の表情が曇ったのが分かった拓人だった。

「三次元の嫁は、文字通り嫁だけど!二次元はお気に入りのキャラのこと言うって、前数時間かけて教えてあげたでしょう!……忘れたの?」
「お気に入り……香澄が……僕以外をお気に入りに……」

 ぶつぶつと、血走った目で涼が呟き始めたので、これはまずいと拓人は考えた。
 さっと涼がスマホを取り出したのを見て、拓人は急いでスマホを持つ手を掴んだ。

「……何する気?」
「香澄の嫁候補のキャラクター関連会社を調べようかと」
「やめなさい。世界のネズミ会社も敵に回すから!」
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