おにぎり屋さんのイケメン店長は、初恋の彼女を口説き落としたい。


「……めちゃくちゃ熱いんだけど、花葉ちゃん」

 
 熱いとわかると、彼は体温計を持ってきて測るように言った。だから今着ている服の中に体温計を入れて挟んだ。


「花葉ちゃん、よくこんな高い熱で動いてたね」

「結構あったんですね……」


 ただ、ボーッとしているんだと思っていた。


「いつから体調悪かったの」

「いや、体調悪いとは思ってなくて……なんとなく、だるいなぁって思ったのは朝です。起きてすぐ」

「はぁ……無理して仕事しなくてもいいんだよ。今日は帰ろう。ちょうど今人来ないし、昼は閉める。ちょっと待ってて」

「えっ、そんな……大袈裟じゃないですか?」


 私がそう言っても閉めると言い張って、本当に閉めてしまった。
 篠原さんに言われるがままに私は、横抱きにされて車に押し込まれてマンションまで帰ってきた。





 



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