王子様とお姫様の甘い日常
「おい、俺の女に似合わないもんなんてねぇんだよ、分かった?分かったっていうまで何回でもキスするからな」

「えっ!えっと……」

「返事がないから、もっかいな」

「ンンッ……ンッ」

颯のキスに目の前がくらくらしてきて、私は慌てて颯の胸元を押し返した。

「だ、め。ス……ストップ」

私のか細い声に、颯が子供みたいに口を尖らせた。

「そんな顔されてさー、俺マジで我慢の限界きてんだけど」

颯は私の身体を気遣って、スキンシップはキスまでと決めて今日まで我慢を重ねてくれている。

「颯……いっつも大切にしてくれてありがとう」

私は颯の頬に手を伸ばすと、とびきりの笑顔を返した。颯が切長の瞳を大きくしてから、ほんの少し頬を染める。

「ったく。なんだかんだ、俺のが美弥に手名付けられてんな」

「ふふっ……ねぇ、ウェディングドレス颯が選んでくれない?」

「え?俺が選んだの着てくれんの?」

「うん。むしろ颯が選んでくれたのを着たいの。一生に一回だから……」

「……しょうがねぇな。じゃあ、ちょい待ってろ」

颯は私の頭をポンポンと撫でると、真剣な表情でドレスを端から順番に見ていく。

(ほんと幸せだな……)
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