王子様とお姫様の甘い日常
私はお腹を撫でながら、目の前で私のドレスを一生懸命選んでいる颯を愛おしく眺めた。

ひとりぼっちだった私に、こんなに甘くて幸せな日常がやってくるなんて想像したことなど一度もなかった。

颯と出会ってから私の人生はまるで魔法をかけられたようにキラキラと輝いて今も夢みたいだ。

でもこの夢のような日々は夢でなく、きっとこのさき永遠に颯がいる限りこの魔法にかけられたような幸せな暮らしは続いていくのだろう。

「美弥」

颯に名前を呼ばれて私は転ばないように、ゆっくり歩いて颯の隣に並ぶ。

「なぁ。これ着てほしいんだけど、どう?……ってか、女にドレス選ぶのって下着選ぶより、恥ずかしいの俺だけか?」

颯が恥ずかしそうに首に掌を当てながら、一着のドレスを指差した。


「……素敵……」

私は目の前がすぐに滲む。

颯が選んでくれたのは、胸元から裾までビーズがあしらわれているAラインのドレスで、少し触れただけでビーズ達が夜空のお星様のようにキラキラ揺れて輝いている。さらに腰元にレースのリボンが付いていて後ろで結べばまるで背中から羽が生えているかのようだ。

「なんで泣くんだよ……」

颯が困った顔をしながら、私のおでこにこつんと額をくっつけた。
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