王子様とお姫様の甘い日常
「颯、携帯鳴って……」

「ほっとけ。美弥抱くのがさき」

「抱くって……待って颯……」

(素股なら問題ねぇだろ)

「ほら、力抜けって」

俺は美弥のズボンを剥ぎ取り、ショーツに手をかける。


──ピロロロン、ピロロロン

(しつこいんだよっ、どこのどいつだよっ)

俺が舌打ちするのと、美弥が起き上がるのが同時だった。

「颯……大事な用事かもだから……」

「わかってるよ、ったく空気読めない奴だよな」

俺は盛大にため息を吐き出してから、相手も見ずにスワイプした。


「もしもし、安堂ですけど」

──『あ!颯先輩すか!』

俺はその弾んだ声に、思わず眉間に皺を寄せた。

「北沢っ!てめぇふざけんな!いまめちゃくちゃいいとこだったんだからな!」

──『そうなんすか?僕にはどうでもいいんですけど、颯先輩にご報告があって』

(その弾んだ声聞きゃ、猿でもわかるっつの)

俺は美弥がスウェットを身につけるのを見ながら千歳の言葉の先を促した。

「はぁ……どうぞ」

──『実は、僕と実花子結婚することになったんでご報告です』

「だろうな。ガキできてたんだろ」

──『ですねー、いやー、神様の贈り物ですよね。で、早速明日から実花子、フレックスにさせてもらうんで。今後は残業もなしでお願いします』

俺は頭を抱えた。俺は仕事のスケジュール管理や契約関係の調整をほとんど実花子に任せきりにしている。
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