若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜
気を利かせて椋生を連れて散歩に出ていた柊生が帰って来た。

「柊君、お父さんとの事、心配させてたみたいでごめんね。」

「いや、このところ上手く寝れてないようだから、もしかしたらと思っていたんだ。
それで、どうする事にした?」

「お父さんに会いに行ってみようと思って、
手紙に連絡先も書いてあるから、電話してみるよ。」

それから柊君が父に連絡をしてくれて、明日父の住む街に行き合う事になった。

「椋生も連れて一緒に行こう。
車で3時間はかかるから、今夜は早く寝て明日早い時間に出発しよう。」

「ありがとう、柊君。」
思わず抱きついてしまう。
この人と結婚して本当に良かったと花は心から思う。

「花が健やかでいてくれる事が俺にとって重要なんだから、なんだって協力するよ。」

ぎゅっと抱きしめ返してくれる。
昔からずっと困った時には助けてくれる優しい兄だった。夫に変わっても変わらず優しく包んでくれる。

「オギャ…オギャ…。」
しばらく抱き合っていると、椋生が起きて泣きだす。

ふふふっと笑らって花は椋生の寝ているベッドに急足で向かう。

「最近なんか…椋生に邪魔されてばかりなんだけど…わざとじゃ無いか?」
柊生は独り呟き苦笑いする。

自分の子にさえ嫉妬してしまうくらい花不足で死にそうだ…そう思いながら柊生は天を仰ぐ。
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