乙女と森野熊さん
熊さんは手を伸ばして俯いた私の頭をゆっくり撫で続けてくれて、しばらくそんな時間が過ぎた。
大分落ち着いてきて気が付けば目の前には大量の水分を含んだティッシュが転がり、私は慌てて自分の膝に隠そうとしたら、大きな手が両手で回収してゴミ箱に運ばれてしまった。
冷蔵庫の開く音、何かキッチンでしている音がして、目の前に氷の入っていないオレンジジュースのコップが置かれる。
私はぼんやり見つめると何故か震えている手でコップをもって、少しずつ喉に流し入れた。
「少し、落ち着いた?」
熊さんの声に、こくりと頷く。
「悪かった、色々情けないことを話して」
私はぶんぶんと頭を横に振る。
「初めて」
やっと出した私の声は、震えるような掠れたような声だった。
「初めて熊さんの事、色々知れた」
「そうか」
俯いたまま、ちらりと熊さんを見る。
熊さんは視線を私には合わせていないようで目は合わない。