乙女と森野熊さん
ほとんど自分のことを話さなかった熊さんが初めて教えてくれたこと。
過去に、思いに、おそらく一番話したくなかった事を話してくれた。
だけど熊さんの過去はあまりに辛くて、お姉ちゃんとの結婚にそんな話があったことも、熊さんに悩みがあったこともしらなくて、そして私に対してそんな責任や悩みを抱えているなんて知らなかった。
一番驚いたのは初めて熊さんが弱さを見せてくれたことだ。
私はどこかで熊さんに弱さは無いと思っていた。
お姉ちゃんを亡くしてもお墓参りをしてもどこか冷めていて、私は時々お姉ちゃんを愛していたのか心配になることもあった。
でも熊さんの気持ちを動かしたのはお姉ちゃんで、そのお姉ちゃんを亡くして熊さんがどれだけショックを受けたのかを改めて知った。
だから私がいなくなることすら怖かったんだ。
私はずっと熊さんが私を引き取ったのは罪悪感、そして責任を感じているからだと思っていた。
だけど私の存在は思ったよりも熊さんにとって大きかった。
必要とされていた事を知って、私は少しだけ心が満たされた気がした。