BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
「わ、あの人イケメンじゃない?」
「絶対、彼女いるって~」
"席、取っておいてね"なんて言われ、1人テラス席に座っていれば後ろから女の子達の声が聞こえてきた。
半分振り返って、レジの方に顔を向けるとグループで来ているであろう女の子達が目に入る。
彼女達の視線の先には──、まさか、みっくんの事?
年上だし仮にも上司。大人っぽいとは思ってたけど、こうして改めて見ると確かに容姿は良い方だと思う。何より雰囲気そのものが柔らかくて、穏やかな表情からも大人の余裕が滲み出ている。
そんな彼がニコッと目を細めて近付いてくる。
木製トレイがカタンと音を立てて、目の前のテーブル上に置かれた。
「香江ちゃん、お待たせ」
「あ、はい!」
「えーー、あれは保護者だよ」
「親戚の子か何かじゃない」
「それね!」
みっくんが私の向かい側に座ると、さっきの女の子達の笑い声が嫌でも耳に入ってくる。
小さな声で話してるんだろうけど、ばっちり聞こえてます。……みっくんには聞こえてないのかな?
今日パンツスタイルで来ちゃったし、走れるようにスニーカーなんて履いてきちゃったんだけど。
ストアのガラスに写る自身の姿をみて、子供っぽかったかなと反省する。
あの子達みたくお洒落で大人っぽい格好してくれば良かった。
シュンと顔を下に向けると、みっくんが大きな手が頭にぽんと乗せられる。
「……て、ちょっ、こぼしてますよ?ご飯粒もついて」