BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~




「…………え?香江ちゃん、もしかしてはじめて?」


私の上で四つ這いになるみっくんが、ポカンと口を開けた状態で私を見下げる。



「まだ指1つしか…」
「ごめんなさい!!」


ホテル(ここ)まで来ておいて経験がないなんて、大人の彼からしたら無知で未熟で恥ずかしさでいっぱいになった。
両手で胸を隠しながら小さく謝れば、みっくんがきょとんとした表情を見せる。



「なんで謝るの?」

「あの、大丈夫なので続けて下さい!ほら、はじめてはみんな痛いって言うし我慢します!!」

「そっか………そうか、うん。そうだね」


優しくて、大好きな声色が耳をくすぐる。
恐怖よりもこの人に応えたいという気持ちが勝って、泣きそうになりながら自分から震える足を開いた。



「わ、私、頑張りますから……て、きゃっ!!」

「頑張るのは、俺だよね?」

「ひゃぁっ!!何をやって……ん、んん……や、き、汚いですよ?」

「はは、念入りにほぐさないとね」

「や、やぁ、待っ…んんんー……!!」


頭がとろとろに溶けそうになって、自分じゃないみたいな声が出た。体全体が熱くて、脳みそが感情がおかしくなりそうで、涙が浮かんでくる。


大人で穏やかな雰囲気を醸し出す反面、2人でいると甘えるように違う顔を見せてくれることが嬉しかった。可愛いと思った。

落ち込んでる時に優しく手を伸ばしてくれる。いつでも笑ってくれる。頼りになる、私の上司で、恋人のみっくん──。




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