BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
「う、うぇっ!!??な、なにが?」
「キッーーク!とぉ!つよいのよー!!」
現実に一気に引き戻される。やたらハイテンションの希乃愛が"みっくん"と言って飛び付いてくるから、心臓がドキリとした。
その後ろから「結構、前の方でショーみられたんだ」なんてお姉ちゃんが玄関から入ってきて、2人がショーを見に行った事を思い出しホッと胸を撫で下ろす。
「あはは。えー、いいな。楽しかった?」
そうだよね、覆面ライダーミツキの話だよね。驚いた……。
みっくんと2人で出掛けるなんて言ったら、大騒ぎになると思って、今日のデートの事は希乃愛には話さなかった。
シャワーも早く浴びたかったし、2人が帰ってくる前に帰宅できて良かった。
「あ、丁度お風呂沸いてるよ。希乃愛とお姉ちゃん、2人もご飯の前に入って温まっちゃったら?」
「はーーい!」
寒かったでしょ?そう言葉を続ければ、ご機嫌の希乃愛が元気よく手を上げる。
荷物を置いて脱衣場に向かうこの子の小さな背中を見て、少しだけ胸が痛む。
希乃愛に内緒でみっくんと出掛けた。ホテルでイチャイチャはしたけど、大人の恋人なわけで別に悪い事はしていない。なのに、後ろめたさを感じるのは何でなんだろう。
「ふふ、秒で寝ちゃったね」
「あは、本当だね。ミツキのショーで疲れたんだろうね」
夕ご飯を食べている間も、コクリコクリと半分夢の中にいた希乃愛。急いで歯磨きをさせて、布団に入れたらすぐに眠ってしまった。