BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
「みっ……主任、主任、ちょっといいですか?」
月曜日、朝のミーティング終了後。
部署と同じ階にある給湯室。周りに誰もいない事を確認してから、こそこそと手招きしてみっくんを呼び出した。
「はは、どうしたの?」
部署と同じ階にある給湯室に、みっくんの穏やかな柔らかい声のトーンが響いて。いつもと変わらない優しい眼差しが向けられる。
「えっと、この間はお疲れさまでした」
「お疲れさまでした。また遊びに行こうね」
私、この男の人とエッチ手前までしたんだよなと思い出すだけで顔が赤くなってしまう。色々触られたり、見られたり……。うわぁぁ、これは職場で思い出す事じゃない。
「あの、前に……みっくんのお家にお泊まりした時に渡された書類についてなんですけど、覚えてますか?」
「あぁ、婚姻届の事かな?」
"婚姻届"という単語に体が大きく反応して、確認した筈なのに再び周りに人がいないかキョロキョロと見てしまう。
「聞くの遅くなってしまいましたが、あれはどうればいい……」
「はは、母さん強引だからね。破ってもいいし、香江ちゃんの好きにしていいよ」
「……え?」
一瞬、頭がフリーズした。"破ってもいい"だなんて彼の返答に拍子抜けしてしまう。いや、求婚されても困るんだけど。
「そ、そうなんですね、分かりました!!」
「あ、もしかして期待してたかな?」
「いーえ、分かってましたから!明らかにお母さんに言われて書いてましたし。それに、私、別にまだ結婚なんて全然考えたことないですし……」