BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
「な、無いです!そんな時間ありません!私、急いで家に帰らなきゃいけないので、失礼します!!」
なんでこの人と会わなきゃいけないの?
掴まれた腕をパッと振り払う。その反動で反対に持っていたスマホが地面に落ちてしまった。
「あらスマホ、大丈夫……?」
彼女が私のスマホに手を伸ばした瞬間、ブブッと振動して画面にメッセージが表示される。
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(お姉ちゃん)
まだ夕飯作ってないから
外食してきてくれると助かる~
遅くなるならお母さんにも伝えとくし(ニコニコ)
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続いて「ぺこり」というスタンプが追加された。
「……あ、スマホ、ありがとうございます」
「時間もあるし、急いで家に帰らなくてもいいみたいね!」
拾ってくれたスマホに手を伸ばすと、彼女がにっこりと口許を緩ませて手を高く上げた。
「あの、私のスマホ返して下さい!」
「あー、お腹減っちゃった!誰か夕飯付き合ってくれないかなー」
「違う人と行けばいいじゃないですか?」
「……三槻くん、誘ってみようかな。彼、仕事の話だって言えば来てくれるだろうし」
クスクスと彼女が笑みを浮かべながら私を見下ろす。
あなたと話したくないから断ったのに──。