BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
いいな、この人、みっくんと結婚してる(してた)んだ。
みっくんの隣に立つのは私みたいな子供じゃなくて、こんな綺麗な女の人なんだろうな。
頭も体もくらくらする。目頭が熱い。喉も痛くなって、何かが込み上げてきた。
「う、うぁ……ううーーっ、」
「香江ちゃん、どうしたの?大丈夫?」
しゃくり上がる声と同時に、涙がポロポロと頬を伝って涙がこぼれ落ちていく。
みっくんが背中に手を回して小さな子供を宥めるよう撫でてくれる。けど、声を出して泣くなんて恥ずかしいのに溢れ出る涙が止まらない。
優しくて、温かくて大きな男の人の骨ばった手。いつの間にか、ソファに寄りかかったまま抱き締められる形となった。
「……まだ酔ってるのかしら?」
「君が苛めたからだよね?」
彼女のため息と呆れた声に続いて、みっくんの柔らかい声のトーンが耳元で聞こえた。
「はぁ……。こんな12歳も……一回りも年下の子娘にマウント取るわけないじゃない。むしろ、あの人の餌食になっても平気なのか確認してあげようと思っただけよ」
「余計な心配しなくていいよ。俺、今、1人暮ししてるし、あの頃のままじゃないよ」
「そうね、もう5年ね」
「はは、もう大人だからね。何でも出来るよ」
「とにかく、あなた早く泣き止んでよ!私が泣かせてるみたいでしょう?この人の母親にハメられただけだし、たった1ヶ月だけだし!私、結婚はこりごりなのよ!!」