BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
「まだ痛かったよね」
「……あの、どうすれば進めますか?何か次までにできること、私にありますか?」
「うーん、自分でする、とか……?」
「するって何をですか?」
「はは、香江ちゃんのその気持ちだけで嬉しいよ。そろそろ家に帰ろうか。送るよ」
「………あ、」
ワンテンポ遅れてなんの事だか気が付いた。自分でって、そういう意味──??
かぁぁーーと顔が赤くなっていくのが自分でも分かって、両手で隠すように下に顔を向けると。頭にポンと大きな手を乗せられて、火照った胸がギュッてなった。
車に乗ってマンションの前につく。みっくんが助手席のドアを開けてくれるけど、足元がふらついて前に転びそうになった。
「大丈夫?まだ、少し酔ってるかな?上まで送ってくよ」
頭がぽーっとするのは、アルコールじゃないんだけどな。
みっくんの腕を借りてエレベーターに乗り込み、玄関まで辿り着く。
「じゃぁ、またね」
「送って頂いて……、ありがとうございました」
頭をペコリと下げてドアを開けると、廊下を歩いているお母さんが私とみっくんの存在に気が付いた。
「あらー、みっくんじゃない?香江のこと送ってくれたの?ありがとー!!」
「香江さん、仕事関係者に飲まされちゃって心配なので」
「ごめんなさいねぇ、こんなパジャマで」
お母さんが"うふふっ"なんて頬を赤らめて、みっくんの肩を叩いてるけど、私の彼氏なんですけど。
「また、遊びにきてね~。今度、希乃愛が起きてる時にでも」
「はい、是非」
「帰れ……」
みっくんの言葉を遮ったのは、部屋の奥から出てきた人物で───、
「香江!!お前、この男が結婚していた事、知ってるのか!!??」
玄関にお父さんの怒鳴り声が響き渡った。