BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
「お、お父さん……!?」
ズカズカと足音を立てて玄関に現れた父の顔は、真っ赤で眉をつり上がっていた。はたから見ても相当激怒しているのが分かる。
「知っていたのか?って聞いてるんだ!」
「みっくん、本当なの……?」
お父さんの裏返るような怒声に続いて、お母さんがおろおろと困ったようにみっくんの顔を見上げた。
「離婚歴があるのは事実です。大事なお嬢さんとお付き合いさせて頂いてるのに、きちんと説明も無しで申し訳ありません」
「10歳も下のうちの娘に手を出して、恥ずかしいと思わないのか?」
「ちょっと待ってよ!なんでいちいち恋人作るのにお父さんに説明しなきゃいけないの!?」
父がみっくんに殴りかかる勢いで近づくから、慌ててみっくんの前に立って2人の間に入った。
「婚姻届にサインまでしておいて無責任だろう?」
「は?婚姻届ってなんでそれ……?ねぇ、人の部屋に勝手に入ったの?」
「こんな大事な書類、親に内緒で書くものじゃないだろう?」
目の前に突き出しされたのは、あの時書かれた1枚の用紙。その初婚再婚の別という欄に年月日が記入されているのが見える。
「わ……、私は知ってたし。ちゃんと聞いてたもん!それでもいいって、付き合いだしたんだよ!!お父さんには関係な……」
「黙れっ!」
パシンッと鋭い音が響いたと同時に頬に痛みを感じた。