BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
真面目で頭も愛想も良くて、いつか私も何もしなくても自分も"そう"なれると思ってた。
喧嘩もしたし、納得いかない事もあるけど。それでも、ずっと一緒に同じ屋根の下で育ってきたお姉ちゃん。
家族が味方になって、背中を押して貰えるって凄く支えになるんだな──。
頑固なお父さんだけど、希乃愛の事に関しては理解と協力もしてくれているし。時間はかかるだろうけど、いつか、きっと分かってくれるかもしれない。
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「じーじ?ママぁ??どうしたの?」
希乃愛が頭を横に傾げ不安そうな顔をみせる。
リビングには出勤前の私と父親がテーブルに座っていて、お互い無言のまま朝食を取っていた。
ズズッと味噌汁をすすって、私の方を見向きもしない父親。そんな父を見てるとこの子の方が空気読めるんじゃないかって思える。
「ん?別になんでもないよー」
「えー?」
「ほら、保育園遅れちゃうよー。今日、かっかと行くんでしょ?早くご飯食べちゃいなさい」
「えええー?」
口の周りをベタベタにして、手を止める希乃愛にスプーンでご飯を食べさせるけど。むーっと、口をへの字にさせて納得のいかない表情になっていた。
「いーよ、香江。私、希乃愛にご飯あげちゃうから準備しちゃいな」
洗面所から支度のできた姉が顔を出して、食卓の席を立って今度は私が洗面所に向かう。
小さな子って周りをよく見てるし、大人が思っている以上に敏感なところがある。