BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
「……え?は?」
「1回でいいからみっくんって呼んでみて」
「主任、どうしたんですか?急に」
「"こーら!みっくん、ちゃんとしなきゃダメでしょう?"って」
「……えと、」
「そう言って、俺のネクタイ直して。そうしたら、これからも他の職員に内緒にしてあげる」
さっき希乃愛の撫でた手が、今度は私の頬に触れる。
──この人、何言ってるの?
「言ってくれないの?」
眉を下げてシュンとしている彼が、冗談を言っているようには見えなかった。まるで子供のように見えるから──、
「こ……、こーら!みっくん!ちゃんとしなきゃダメでしょう!?」
年上の男の人を"みっくん"だなんて、恥ずかしくて声が震えた。
両手を彼のネクタイに伸ばすと、ぐっと距離が近くなって緊張で手がモタモタしてしまう。それでも必死にネクタイをきゅっと絞めて手を離した。
「ははっ、お母さんみたいだね」
「みっくんのばーば?」
「いや、ばーばじゃなくて。俺のママのこと」
「みっくんのママー?」
「主任!お母さんみたいって、無理やり言わせたんじゃないですか!?」
「ははは!」
「"ははは!"じゃないですよ!」