BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
「ののちゃん、バイバイ」
「あたたくん、バイバーイ!」
"あらたくん"のママが申し訳そうに頭を下げて、大きく手を振るあらたくんと去っていく。
その親子の背中を見送りながら、笑っている希乃愛のことを考える。
新しい出会いがある度、説明が必要になってくる場合があるのだろうか。
いつか、希乃愛もパパがいないことに疑問を抱くのかな──?
「じーじ、ばーば!!」
みっくんに高く抱っこされたまま、今度はお父さん達に手を振る希乃愛。
不満気に口をへの字にさせていた父の表情が一気に和らいでいく。
「お姉ちゃん、私もお母さんもお父さんも、みんな希乃愛の家族だからね」
「……香江、ありがとう」
すぐ隣に立つ姉の手を握った。お姉ちゃんと手を繋ぐなんて小学生以来だと思う。
希乃愛が笑うだけで、家族ができる。
本当に、大切な、大好きな小さな天使──。
「お義父さん、香江さんとの交際を認めて頂くの長期戦でいくのでよろしくお願いします」
「ふんっ、勝手にしろ」
「もう、お父さんったら素直じゃないわね」
「うふふ、三槻頑張ってね~」
がやがやと園児達で賑わう声。保護者達の間で繰り広げられる挨拶と雑談。
そんな中、みっくんとお父さんのやり取りが聞こえてきた。