BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
部署の空気はぎこちなく、私と主任の噂も全く消えないまま週末を迎えた。
金曜日。定時に上がり、マンションへ帰宅。
夕飯を作る母親と、リビングで覆面ライダーを見てお人形遊びをしている希乃愛。
リビングの扉を開けると、さっきまで1人で遊んでいた希乃愛が大きな瞳を輝かせて走ってきた。
「ママー、おかえりー」
「ただいま、希乃愛」
頑張って働いて、可愛い希乃愛の待つ家に帰る。
これが、私の日常だ。
いつものように母親と希乃愛の3人で夕食を囲んでいると、ピコンと母のスマホの音が鳴った。
誰からかメッセージが届いたようで、画面を見てからニッコリと希乃愛に笑いかける。
「希乃愛ー、うさぎさんに会いたい?」
「うさぎさん、あいたーい」
「きりんさんは好き?」
「きりんさん、すきー」
「明日、どうぶつえん行く?」
「えー、どうぶつえん?いくーー!!」
「香江~。明日、どうぶつえん行こうねぇ」
お母さん、随分とご機嫌だけど どうぶつえんなんて急にどうしたんだろう?
いや、もちろん希乃愛が喜ぶなら行くけど。
*****
次の日──。
「うぇっ、どうして主任が!?」
マンションの前に横付けされた、ワンボックスカー。
運転席には山崎主任が乗っていた。
「あー、みっくん♡」
「希乃ちゃん久しぶり」
「みっくん、どうぶつえん?」
「うん、一緒に行こうね」
「やったーー」