BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
「山崎さんから希乃愛とまた会いたいって連絡あってねぇ。希乃愛も山崎さんのこと気に入ってるみたいだからー……ね?」
と口にする母にバッと顔を向ければ、てへっと舌を出した。
あの飲み会の日、2人は連絡先を交換していたらしい。お母さんと主任がLINEで繋がってたなんて知らなかった。
私だって、まだ連絡先知らないのに。
「ほらほら、いってらっしゃい!」
やけに張り切っているお母さんが希乃愛のチャイルドシートまで運んでくる。
そのまま、母に背中を押されて後部座席に押し込まれると、すでにシートではしゃいでる希乃愛の姿があった。
「くるま、ひろーい」
「こら、靴のままシートでジャンプしないの!」
困惑しながらも希乃愛の靴を脱がせてると、クスクスと運転席から穏やかな声がする。
「そんな感じじゃないって言ったでしょ?」
「え、えぇ……?」
「ほら、奈良崎さん、希乃ちゃんもシートベルトして」
「どつぶつえーん、れっつごー!!」
それが、数日前の会話の事だと理解できるけど、戸惑いを隠せないまま車が出発した。