BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
車の中はやたらとテンションの高い希乃愛の元気な歌声と喋り声が響いて。
車に揺られて約15分。目的地であるどうぶつえんに辿り着いた。
「どうぶつえーん、おおきいー」
「走らないのー!もう希乃愛ったら」
園内に入場して、エントランスを1人走り出す希乃愛を追いかけていれば、主任に笑われてしまう。
「昨日ね、奈良崎さんのお母さんから、希乃ちゃんに会いに来てくれないかって連絡がきたんだよ」
「え、うちのお母さんから?」
確かに。希乃愛、私だけじゃなくてお母さんにも「みっくんあいたいー」って言っていた事を思い出す。
「でも、お邪魔するとうるさいみたいだからって返したら"どうぶつえん"って話になったんだ」
どうして、家が駄目だとどうぶつえんに繋がるのか。お母さんも私の男の影を面白がってるとしか思えない。
もう、主任とはそんなんじゃないのに。
「な、なんで、うちのお母さんとLINE繋がってるんですか?」
「ん?」
「わーー、きりんさーん!かわいー」
キリンの柵の前。主任に肩車される希乃愛が、興奮を抑えられない大きな声を上げていく。
「職場の飲み会の場で、奈良崎さんがまた潰れちゃった時にすぐ連絡が取れるようにだって」
「おめめすごーい、きりんさーん」
「あぁ、その節は申し訳ありません……」
「ははっ、いいよいいよ。どうぶつえん、大人になってから来てなかったし。癒されるよね」