BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
目の前のことが精一杯で、この子と自分の将来の事なんて考えたことなかった。
でも、希乃愛にとってはママとパパの両方がいた方がいいんだろうな。と、漠然と考えることはあった。
「だって、おかしいじゃないですか」
「うん、何が?」
「子供の存在分かってて、す……好きって言ってくるなんて。希乃愛供目当てとしか思えない、です」
「香江ちゃん。会社で"種なし"だって噂されちゃってるの?俺」
「1部!1部の人達ですよ!」
「検査したことないからな。はは、多分あるんじゃないかな。試してみる?できるか、できないか──」
「は!?な、なに言ってんですか??ち、違くて、希乃愛にも優しいしこんなすぐに家に挨拶なんておかしい……」
「ははは、香江ちゃん鋭いね。実はママにきちんと相手の親にご挨拶に行くよう言われてね」
「……そうですか」
少し忘れていたけれど、この人ママに何でも話すんだった。
主任の家族との距離に呆れて肩の力が抜けていく。
「俺ね、香江ちゃんが希乃ちゃんを大切にしてる、2人の関係に惹かれたんだ」
「え……?」
「まるでうちのママのようだって」
なんで、ここでママの話が出てくるのよ!
ちょうどその時、トントンとドアがノックされる。
そっと扉を開けたのは母親で、「お父さん帰ってきたわよ~」なんて主任に手招きした。