最強の花嫁は最愛の花婿を守る為に牙を剥く
「い、伊藤純花(いとうすみか)さん!?」
「うん…志藤尊君、だよね?」
目の前に立つ人物を見て、尊は恐れおののいた。
それどころか、教室全体が騒然となった。
「うわ、伊藤純花さんだ!」「き、今日も可愛い…。」という声があちらこちらから聞こえてくる。
桜坂大学ミスコンテスト2年連続優勝者、大学の頂点に君臨する美の化身、伊藤純花が、どういうわけか尊の目の前にいて、しかも、尊の名前を呼んでいた。
純花がおずおずと切り出す。
「き、急にゴメンね。ちょっといいかな…?」
「ははは、はい!?」
そう言われて、尊はますますパニック状態に陥り、彼女に言われるがまま教室を出ていった。
その後ろ姿を、仲間達は驚愕の眼差しで、壱は怪訝そうな顔つきで見送った。
「…誰だ、あの女は。尊の友達か?」
すると、すかさず周囲から「そんなわけないじゃん!!」という総ツッコミが返ってきた。
「伊藤純花!容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能!おまけに家は超金持ちのウルトラ完璧美少女だよ!」
「へぇ、学園のマドンナってやつか。」
壱はさも面白くなさそうに鼻を鳴らして、2人が消えていったドアに目をやった。
小柄で華奢な体つきのくせに、胸だけは妙にでかい女だった。
色白で、性格も多分だが清楚で大人しそうだ。しかしー…。
「…黒髪じゃねぇな。」
伊藤純花のゆるいウェーブのかかった明るい髪色を思い出しながら、壱はボソッと呟いた。
「え?」
「…いや、何でもねぇ。で、そんな高根の花が、尊みたいな名も無き雑草に何の用だ?」
「そんなの、俺達が聞きたいよ。」
「ひょっとして、あの作戦が効いたのかな…。」
ふいに、尊の友人の1人が半信半疑の顔つきで言った。
仲間内に動揺が広がる。
「あの作戦が!?そ、そんな馬鹿な…。」
「でも、それ以外に尊と伊藤さんに接点なんて…。」
そこで、壱が口を挟んだ。
「何だ、あの作戦って?」
尊の友人軍団は、皆一様に奇妙な表情を浮かべながら、おずおずと言った。
「実はー…。」