最強の花嫁は最愛の花婿を守る為に牙を剥く
「状況は?」
初々しい大学生カップルの動向を横目で気にしながら尋ねる壱に、義龍が隣に来て答える。
「作戦の第一段階は無事に終了した。神楽町のライフラインを破壊後、混乱に乗じてリストに記載があった14名を殺害。警察及び報道機関は現時点で事故以上の見解を示していない。実行部隊は『キャッスル』にて待機中、移動させるか?」
「サプライズ作戦は大成功だな。仕掛けに創意工夫を凝らした甲斐があった。実行部隊を『キャッスル』から『ヴィレッジ』へ。以降は第2部隊に任務を引き継ぎ、準待機に入れ。…発破屋共に称賛を。お前もたまには笑って、連中に労いの言葉でもかけてやれ。」
すると、義龍が露骨に嫌そうな顔を返した。
そういうことが得意なタイプではないのだ。
「あんたが言ってやった方が、連中も喜ぶんじゃないのか。」
そう言った後、義龍はようやく壱の視線が一定方向に釘付けになっていることに気が付いた。
「…あんた、さっきから何を見てる?」
壱の視線の先を追いかけると、そこにいたのは大学生くらいのカップルで、男の方は資料で何度も見た顔だった。
「…ああ、あれが噂のあんたの新しいイロか。何だ、思った以上にガキだな。」
「言葉を慎め、義龍。俺の旦那様に向かって、下品な言葉を使うんじゃねぇ。」
「隣の女は?」
「あの野郎、俺という美人妻がいながら他の女にも手を出すとはいい度胸だ。帰ってきたら二度と火遊びができないよう、タマをチョン切ってやる。」
「…俺なんかより、あんたの方がよっぽど品がないように思うが。」
義龍が呆れるように言って、再び大学生カップルに目を戻した、その時だった。