鬼上司に恋しました〜本当の、恋を教えてくれたのはあなたです
ただ、手土産と短い声をかけて帰る課長と、そんな日を1日おきに繰り返すと、こちらが悪いのだが、ほんと、申し訳なく思ってしまう。
辞めると言った、ただの価値もない新人に、ここまで親身になってくれる人なんて、他では考えられない。
ただ、もう、涙が溢れるばかり。
そして、等々、課長の優しさに私は折れてしまう。
いつもの時間にやって来て、似たような事を言って帰ろうとする課長を追いかけて、玄関ドアを開けた。
「課長」
「…えっ、中村?」
「はい、中村です。こんな普通ですみません。いつもは詐欺メイクでこっちが素です」
「…」
はい、なんと答えていいかわからないんですよね。わかりますよ。別人ですもんね…
戸惑ったまま硬直して動きを見せない課長に、本来の目的を告げた。
「いつも、手土産ありがとうございます。疲れているのに、私の為にわざわざ通ってくれて、感謝しています。ご飯作ったんですけど、よかったら、食べてきませんか?」
「…いや。親子さんもいない女の子の部屋に、俺なんかがお邪魔するのは…ダメだろ」
真面目か…
怖い顔つきのくせに、根は真面目な人なんだと、改めて思わされる。
「大丈夫です。課長が食べてくれないと、ゴミになるだけです」