鬼上司に恋しました〜本当の、恋を教えてくれたのはあなたです
「うっ…わかった。食べたら、すぐお暇する」
部屋に招き入れたが、どこにいていいのかわからないようで、立ったまま彷徨っている。
いい年をして、それなりに恋愛経験もあるだろう男の人なのに、なんだか、初々しい姿が可愛くて、クスリと笑う。
「課長、ベットに座っててください。今、テーブルに並べますね」
1DKの部屋は、あまり物が置けないので、いつもベットをソファがわりにして寄りかかって過ごしている。
「…いや、ベットって…」
なぜか、顔を赤らめている。
何を想像してるんですかね…
ローテーブルの上に、ご飯に、わかめとお豆腐のお味噌汁。おかずに肉じゃがときのこのマリネ、きゅうりとレタスとエビを巻いた生春巻きを出した。
課長に食べてもらう為に、いつもより品数は多く、課長の年齢を考えてあっさりメニューにした。
料理を並べていくうちに、唐揚げなどの揚げ物があった方が良かっただろうかと脳裏をよぎった時、課長が、おかずに見入って「うまそうだ」と呟いた声を聞き取り、頑張ってよかったと思う。
いまだに座ることに躊躇っている課長は、落ち着かないらしい。
「中村は、料理をするんだな」
「はい、大学からこっちに来て、一人暮らし歴4年です。レパートリーは少ないですが、割と料理は好きですよ」