やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「意外に思われないんですね?」

「……えぇ、両親が王都の前の生活に戻りたがっていたのは知っています。
 父は貴族の生まれながら、気性が合わなくてそこから逃げましたし。
 周囲の協力があっても、母は色々な無理をして疲れていました。
 私がクレイトンへ行ったのは11の冬で、前年度より祖父から商いについて、学び始めていて。
 ご存じかも知れませんが、ムーアではそれが始まると子供扱いを止めます。
 両親は伯父が遺した負債について、私にも隠さずに教えてくれました」


 ムーア家の子供達は全員10歳から商売について学び始める。
 私も母方の従兄弟達に混ざり、祖父から教えを受け始めたところだった。


 降って湧いた様な『伯爵令嬢』と呼ばれる肩書きがこれからついて回るが、貴族らしい贅沢は出来ないこと。
 王都での暮らしより質素になること。
 貴女もそれに協力して、倹約に励むこと。


 今までは欲しいものを伝えると、お祝いの折に触れてプレゼントとして与えられていたが、そう言うおねだりも厳禁になる。
 ただ駄目だと却下するより、お金の価値を学んだ私には、質素を心掛けねばならない状況を教えようとしたのだ。
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