やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「今から8年後、君と俺は一緒に暮らし始めて2か月も経ってなかった。
 俺が仕事でエスコート出来ず、君がひとりで参加したパーティーで、ハイパーと再会したんだ。
 当時の君はシーズンズの広報の仕事をしていて、ハイパーはクレイトンの取引先を求めて、多くのパーティーに顔を出して、こまめに営業していた」

「……」

「沈みかけた侯爵家を支えるために、父親から命じられてモニカを選んだハイパーは、婿入り後にクレイトンの実情を知り、彼女を冷遇していた」


 シドニーがモニカと婚約したのは、虐げられたヒロインを助け出すヒーローだったからじゃないの?
 エドワーズ侯爵家の寄生先を父親から命じられて?




 ……2年前のクレイトンの夏祭り。
 花火を見上げて、シドニーが隣に立つ私に溢した言葉が甦る。

『君の家族は、本物だ』

 言われた意味が分からなくて、聞き返しても。
 彼は何も言わずに、私の髪をくしゃくしゃにした……
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