やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

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 辛い話はグダグダ経過説明せずに、肝心なところだけ聞かせればいい。
 それは私のモットーだ。

 だが、自分が反対にそうされて、初めてそれが自己満足でしかなくて小賢しいものだった、と気付かされた。


『毒を飲んだ』
『17ヶ月、目を覚まさない』

 肝心なところはそこでも、経過を聞かせて貰わなければ、簡単には受け入れられない。




「……全部、最初から話して」


 29歳の私は幸せだと思っていた。
 子供は持てないかも、と悩んでいても。
 あの夜、事故を回避出来たから、もうその悩みも消えて。


 オルに愛されて、幸せにして貰って。
 オルを愛して、彼を幸せにしている、と。


 オル、貴方がどこか幸せそうに見えなかったのは、このせいだったのね?
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