やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 それを聞いた彼が、少しだけ笑ったような気がした。


「さっきもオーウェンに母上とのことを聞いていただろ。
 ディナって、ほんとに……悪気なくて、言いにくいことを聞いてくる」  

「え? 私オルが言いたくないことを聞いてる?
 無神経でごめんなさい!」


 それは申し訳なく思うけれど、この性分は変えられない。
 ずっと分からないままに出来ない性格なのだから。


「自分に関することは、全部知りたいひとだからね。
 君は決して無神経ではないし、俺に遠慮は必要ないから全然構わない。
 俺はそんなディナが好きになったんだから。
 これから、時戻しの魔法についても話すよ。
 あやふやにしか答えられないこともあるのは、まだまだ時というものは解明出来てないことも多いからだ。
 俺が分かっている範囲なら、はっきり話すよ」


 話す、と言ってくれたから、ただ黙って聞けばいいのに。
 また私は自分から尋ねてしまった。


「これは時戻しとは関係ないんだけど。
 モニカの遺書と聞いて思い出したことがあるの。
 彼女が急に持ち出してきた伯父の遺言書、って今まで何処にあったのか、オルは聞いたことある?
 以前の顧問弁護士が預かっていたわけではないのに、誰からモニカは渡されたのか、と思って」
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