やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「モニカの逮捕で、色んな話をオーウェンから聞いたけど……偽物ではなかったことは確からしい」

 そうか、父はそういう人だけれど、そこはいい加減に認めた訳じゃなかったのね。


「本人の部屋から見つかった、だったかな?
 誰かが預かっていた、と名前は出ていなかった」

 モニカの部屋から?
 彼女の部屋は、彼女の母の前伯爵夫人の部屋で。
 私の母にはその部屋に入る権利があったのに、モニカに譲ったのだ。
 もちろん中で繋がっている隣の当主の部屋に父は入らず、そこは空き部屋になっていた。


 ……これは、今度フィリップスさんに会ったら、聞いておこう。
 


「オル、じゃあ、次の質問をするね。
 どうして今だったの?
 普通は半年だったり、1年が過ぎても目覚めないから、とキリのいいところで、行動を起こすと思うの。
 時戻しの会得にはそれだけの時間がかかったのかも知れないけど……
 今、貴方が13年前に戻ろうと動いたのは、急に戻らなくてはいけない理由が出来たの?」


 オルは大きく頷いた。 


「早速、知らせたくなかったことを聞かれたな……
 俺が13年前に戻らなくては、と決意したのは。
 眠り続けていた君の容態が変わって……」
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