やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

 ずっと、内緒にされていた。
 ずっと、変わらない態度と笑顔で。
 何で平気な顔をして、そんなことが出来たの?
 ふたりとも普通の神経じゃないところがお似合いね。


 婚約を発表しようとシドニーと決めていただろう今日だって、モニカの様子はいつもと同じ。
 今日の予定は20時からのシドニーのパーティーだけだったから、私は講義が終わると直ぐに部屋に戻り。
 仕事が13時半上がりの早番で、2時間くらい夕方寝をしていたモニカを起こした。 

 そして彼女が持ち帰った新作パンを食べてから、お互いのヘアメイクと服装にチェックを入れて、くだらない冗談を言い合って。

 運賃を割り勘にしたキャブに乗って
(往路のチップは彼女が支払って、帰りのチップはジェリーね、なんてモニカは笑っていて)

 パーティーの開始時間にシドニーを訪ねて、モニカと半分ずつお金を出しあったプレゼントを彼に渡して。


 シドニーだって、『ありがとう』と先に私を抱擁して、その後、同じ様にモニカを軽く抱き締めたのだ。
 それはいつもと同じだった。
 いつだってシドニーは、付き合いの長い私をモニカより優先していた。
 ……私の前でなら。
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