やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

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 簡単に説明するので、落ち着いて聞いてください、と。

 そう言うフィリップスさんも落ち着いていないように見えた。
 ノックスヒルのクリフォードから、1時間程前に電話が来た、と話し出した。



 クレイトンの教会へモニカを伴って私の家族は日曜礼拝に参列した。
 それは毎週のこと。
 両親は共に信心深くはなく、王都では礼拝に参加しない方が多かった。
 だがここでは、領主夫妻の重要な仕事と割り切り、毎週参加していた。


 礼拝前にエドワーズ侯爵夫妻はクレイトンを出立していた。
 モニカの婚約者はモニカに告げずに、ひとり始発で王都へ戻っていた。
 今日は早朝からフィリップスさんを叩き起こして、両親はモニカへの爵位譲渡の件を依頼していた。
 後はその日を待つだけだったが、公にはまだしていなかった。


 礼拝終了後、帰ろうとした両親と弟は領民何人かに囲まれた。
 全員が『聖女様』の信者だ。

 領主家族が領民に囲まれるなど、誰が想像するだろう。
 領内の教会の日曜礼拝に、護衛は付けてはいない。
 モニカは守られるように、離された。
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