やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

『ジェンの従姉が働いているから』とシドニーは友人達に声をかけて、出来るだけそのお店を利用するように勧めてくれた。


 私がお店に顔を出すと、パン屋のおかみさんは
『モニカが来てから、紹介されたとお客さんが増えた』
『売上げが倍になった』
『本当にモニカ様々だ』と喜んでくれていた。

 当然私も大学の友人達に『パンを買うなら、あのお店でお願いね』なんて頼んでいたけれど。


 皆に行くように勧めて、自分も毎日買いに行って。
 モニカの売上げを伸ばすように、一番動いていたのはシドニーだった。
 有名な洋菓子店でなく学生街のパン屋をモニカが選んだのは、その方が毎日シドニーに会えるからだ。


 ふたりの行動の意味に、どうして今日まで気付けなかった?
 私は本当に鈍感だ。
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